2006年11月16日

「夕凪の街」を想う。

先日のSGHで広島の話題が出たので、久々にこの本のお話。
「夕凪の街 桜の国」

もう何度も何度もこれに関しては記事にしているし、さすがに毎日毎日読むわけでもないのだけど・・・多分、一生手放せない本だと思います。一生どころか、あの世まで一緒に持って行きます。もし私が死んだら、棺桶に一緒に入れて下さいね(本気)。

余談ですが、ほかにも棺桶に入れられるとしたら、お気に入りのCD&DVDも・・・!と思うのですが、現実は、そういうモノは駄目らしいです(樹脂製のモノなどは、業者さんに止められる)。だったら、映像作品は、その作品のシナリオ本や小説版を代わりに入れれば良いけど、好きなアーティストのCDはどうしよう・・・ブックレットとか入れたらいいのかなぁ?ちょっと悩みますね(今から悩むのか。苦笑)。
あと、キャッツとか観た後だと、最低でも、昔書いた恥ずかしい執筆物は処分しないと、死ぬに死ねない・・・とか思います。学校の文集とかも、今見ると恥ずかしい内容ばかりだよねー・・・(汗)。

・・・と、脱線してしまったので、軌道修正して。
この「夕凪の街 桜の国」との出会いは、本当に衝撃でした。それ以前にも、原爆(戦争)を扱った作品はたくさんありましたよ、もちろん。ただ、私はそれを目にするたびに感銘は受けるんだけど、一方で「何か足りないぞ」と思っていて・・・確かに、どれもいい作品だし、作者がその作品に込めた想いもしっかり伝わって来る・・・でも「言いたいことはそれだけ?」という感覚が常にあるんです。原爆の恐ろしさを訴えかける残酷描写と、それに恐怖し、怒りを覚える人々・・・という描写の作品がほとんど。でも実際は、とてもそれだけの描写で完結できる題材ではないですよね。何か足りない気がする・・・もう少し踏み込んだ描き方もできるんじゃない?とずっと思っていて。
でも、その「足りないもの」が何なのか・・・頭の中に漠然とイメージはあるものの、いざ言おうとすると、うまく言葉にならない。また、仮に言葉にできたとしても、被爆したわけでもなければ、身内に被爆者もいない(曽祖父が入市被爆者ではあるけど)こんな私が、偉そうに発言できるようなものではない・・・という遠慮もありました。

そういうときに、この「夕凪の街 桜の国」と出会って。
最初にひと通り読んで、大泣きして・・・読み返すたびにいろんな感情が噴き出すけれども、まず「足りなかった想いが、この作品ではちゃんと描かれている。こうの先生、ありがとう」と思いました。
何度も何度も言葉にしたいと思いながら、でも未熟な今の自分では言葉にできなかった・・・そんな想いが、ここにはちゃんとした形になって描かれている。それがもう、とにかく嬉しくて。

もちろん、この作品に登場する人たちの想いは、実際に被爆された方の想いの「断片」にすぎなくて、この作品だけで全てを語ろうだなんて、それこそおこがましい。これだけで「理解した気になる」のも、ある意味、とても恐ろしいことだと思います。
ただ・・・特に最近強く思うのですが、漫画に限らず、アニメでも映画でもドラマでも音楽でも・・・何でもそうなんだけど、これら全て、読み手(あるいは、視聴者・リスナー)の手に渡って、各々が感想を抱くことで、初めて完成するものなんですよね。「こう感じて下さい」と、最初から作り手が指定する作品なんて皆無なわけで・・・どれも手にした人の数だけ、結末が存在するのが当たり前です。

この作品は特にそれが顕著なので、これから読もうと思われている方は「理解しよう」だなんて、変に身構えないで下さい。読後に抱く感想も、どんなものでも構わないと思います。それが言葉にならなければ、敢えて無理に何か言おうとする必要もない。正直私も、この作品に関する記事を何度もこのブログで書いたけど、いまだにちゃんとした感想を書くことはできていない気がします・・・だけど、それでも何か残したいから、あがくように今日も書いている。でも、人それぞれですから、敢えて何も書かずに、心の中で想いをあたため続ける・・・という方法もアリだと思います。・・・私の場合は、性格上それができないだけ。何でも書き残したい人なので(苦笑)。

そもそもこの文章も、人に薦めたくて書いているというよりは、読むたびに湧き上がる想いが少しずつ違うので、未来の自分のために、それをなるべく書き残しておきたい・・・という気持ちが強いのです(もちろん、薦めたい!という気持ちも多少はあるんですけどね。来年は実写映画の劇場公開も控えているし・・・)。
たとえば5年先、10年先の私は、この作品を読んでどういう想いを抱くんだろう・・・と、そんなことを考えながら書いています。

そして誰より「夕凪の街」を読んでくださった貴方、このオチのない物語は、三五頁で貴方の心に涌いたものによって、はじめて完結するものです。これから貴方が豊かな人生を重ねるにつれ、この物語は激しい結末を与えられるのだと思います。
また「桜の国」では、原爆と聞けば逃げ回ってばかりだった二年前までのわたしがいちばん知りたかった事を、描こうとしました。自分にとってもそうであった、と気付いてくれる貴方にいつかこの作品が出逢い、桜のように強く優しく育てられる事を、心から願ってやみません。
「夕凪の街 桜の国」あとがきより引用

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