2007年7月22日

「夕凪の街 桜の国」公開

土曜日に2つの映画を観て来ましたので、それぞれ別エントリーで感想など書こうかと・・・ということで、まず1本目!
21日から、全国に先駆けて1週間早く広島先行公開の映画「夕凪の街 桜の国」を観て来ました(今「さくら」で変換したら、「桜」よりも先に「櫻」が出た、私のPC・・・どんだけ~。苦笑)。

以下、ネタバレはないので、これからの方もご安心を。

初日は、広島市内数ヶ所での映画館で舞台挨拶あり!・・・となればやっぱり、初日に行かなきゃでしょう!ということで。地方住みだと、なかなかできない経験なんですよね。次の上映40分前くらいに映画館に着いたんだけど、私の前にもう100人以上はいたかな・・・200人はいかないけど。ただ、あまりに人が多いと数人で固まって席を取るのは難しいけど、一人だったから何だかんだで3列目に座れました。結構ちらほら席空いてるんですよね、前の方でも。

「舞台挨拶」と名のつくモノに参加するのは二度目なわけですが(一度目は「∀ガンダム」。こっちでも舞台挨拶あって、御大と朴さんがいらっしゃいました)、ああいうマスコミの方々もわんさか参加される舞台挨拶って初めてでした。最初にロビーに足を踏み入れた時点でもう、明らかに普段と違う空気だったし、舞台上でマスコミ関係者向けの撮影会なども一緒に行われて「目線あちらにお願いしまーす」とか、自分の席から見てて結構新鮮でした。

本当は、いつもよく行くシネツインでの舞台挨拶に行きたかったんですが、こっちは先週の土曜日に整理券が配布済みで・・・それに気付いたのは、今週の月曜日だったという・・・。でも、今回行った広島宝塚での舞台挨拶は、テーマ曲を演奏した内田奈織さんのハープ生演奏付だったので、むしろこっちで良かったかも。プロの方のハープ生演奏って滅多に聴けないし、演奏も素敵でした。
映画が終わったら、外で「夕凪~」のサントラ盤を売ってて・・・ついつい買っちゃった。だって、内田さんが生でCDにサインして下さるんだもん!こういうのに弱い(苦笑)。「映画を思い出しながら聴いて下さいね」と、握手もしていただけて・・・素敵な方でした。

舞台挨拶にいらしていたのは、佐々部監督と、七波役の田中麗奈さん、皆実役の麻生久美子さん。田中麗奈さんが最後に「伝えたいことはたくさんあるような気がしますが、どれも一言では言い表せないし、言い表せるものではありません。皆さんそれぞれが、この作品を見て感じたこと、受け取ったメッセージが全てなので、沸き起こった想いを大切に持ち帰って、周りに伝えていただければ嬉しいです」というようなことを仰っていたのが印象的です(うろ覚えなので、微妙にニュアンス違うかもしれませんが・・・)。

あと、撮影裏話として・・・今回、役の中で広島弁に挑戦なさった麻生久美子さん。台詞を全て広島弁にして現地の方に喋ってもらったものをMDにして、家とかでもBGMにして延々聴いて覚えていたら、心地よくて気にいってしまったとか(笑)。広島弁っていうとキツいイメージがあるけど、皆実が喋る広島弁は京都弁の雰囲気にも近い、やわらかくて優しい言葉遣い。あれなら確かに心地いいよな~と思うし、劇中で麻生さん演じる皆実が喋っていたのも、かなりハマっていました。実際、私も原作を読んで「あぁ、女の子の喋る広島弁って良いな」と、改めて感じましたし。・・・ただ私自身は、あまりコテコテな広島弁は喋らないんですけどね。生まれも育ちも生粋の広島人だけど、「じゃけぇ」とか、語尾にちょっとついてしまう程度。

そして、本編。先行公開ということで、まだ観れていない方のほうが圧倒的に多いので、ネタバレは書かない方向で。

正直言って、原作を初めて読んだときのような衝撃はありませんでした。まぁ、実写化とは言え、既に知っている作品ですから、ないのは当たり前か。でも、素直に良かった、と思いました。良くも悪くも大衆向けになっている感じは否めず、ちょっと綺麗に描かれすぎじゃない?と思える描写もありました。・・・でも、大号泣。この涙が私の素直な気持ち。もう、皆実の一言一言に、何度泣かされたかわかりません。もともと麻生久美子さんという女優に関しては「時効警察」の三日月くん、くらいの認識しかなかったけれど、作品を観ているあの間じゅうずっと、原爆によって家族を、幸せを、全てを奪われた一個人にしか見えなかった。本当に平野皆実そのものでした。

麻生さんだけじゃなく、本当に素晴らしいくらい、全てのキャストがハマってたなぁと思います。田中麗奈さん、中越典子さんは言うまでもなく(このお二方は、キャストが決まったときからもうピッタリ!と思ってた)、堺正章さんの挙動不審定年親父っぷりもかなり良かったし(笑)、吉沢悠さん(今は「ゆう」じゃなくて「ひさし」という、本名の読みなんですよね)も、実直な打越さんらしさがよく出てた。吉沢さんに関しては、その前の日に某ドラマでのドS教授っぷりも見ているので、個人的にはそのギャップも楽しかったです(笑)。
あと、思いがけず京ちゃん役の子がピッタリだった!何かどこかで見たことある気が・・・と思ったら「喰いタン」に出てた子だ。

まるっきり原作をなぞるわけではなく、原作にも登場する○○や、映画版オリジナルの○○が、過去と現在を繋ぐ象徴的な小道具として重要な場面で使われていたり、実写化ならではの試みが面白かったです。・・・あ、実写ならではといえば、七波と東子のラブホ内でのシーンが個人的にお気に入りです。数年振りに再会した二人が、あの場面で一気にその時間を埋めた気がしました(制作側もおそらく、そういう意図で入れたシーンなんだと思いますが)。
あとは「夕凪の街」の時代設定が、原作だと昭和30年なんですが、今年を皆実の50回忌とするためか、映画版は昭和33年。冒頭、皆実が勤める会社にある、新聞の記事・・・芸が細かい!

ラブホと言えば・・・実際にロケしたのはやっぱり、あそこだったんですね。いつも路面電車からよく見える、あそこ(苦笑)。
あのラブホだけでなく、平和公園や、原爆ドーム、平和記念資料館、原爆の子の像、路面電車、バス乗り場、色鮮やかな盆灯篭・・・いつもよく目にしている風景をああいう形で見るのも楽しかった。よく見るといえば、東京駅八重洲南口の高速バス乗り場も・・・東京遠征のとき、ちょくちょくあそこでバス乗り降りしてますから(笑)。劇中で三人が乗ってるのも、おなじみニューブリーズ号で・・・そうそう、広島⇔東京便はあれだけなんだよねー!と思いつつ(苦笑)。

原爆に関しては、思ったほど凄惨な描写はなかったです。捉え方は人それぞれなので、あの描き方でも凄惨だ残酷だと、感じる方はいらっしゃると思いますけど・・・ね。ただ、私はあれで良かったと思います。リアルにしようとすればするほど、あの作品の中では浮いてしまうと思うし、変に作り込まれていないぶん、シンプルでメッセージが伝わりやすい描写になっていると思ったし。

個人的に思うのですが・・・原爆に関する描写って多分、どんなにリアルに描いても、甘っちょろくて嘘っぽい感じになると思う。本当の意味での忠実さを追求するのは不可能ではないけど、そうしてしまうと・・・映像作品としては使えないと思います。はっきり言って、凄惨すぎて。今年「はだしのゲン」が実写ドラマ化しますが、多分これも、脅威としては十分視聴者に伝わると思うのですが、忠実な描写かどうか?というと、やはり的外れなものになるんだろうな、と。
もっとも、このような映像作品は、いかに事実を忠実に描くかというよりも、その中で生き延びた人、亡くなっていった人の抱いた「想い」がメインだし、実情を伝えることよりもメッセージ性の方が重要なんですよね。ただ「歴史」を知りたいだけならば、それこそ平和記念資料館に足を運んで、実際に見るのが一番わかりやすい。

夏になると、特にこういった戦争ものが持て囃されるけど、それは言い換えると「それだけ、日本人がこのテーマに関して無関心」っていうことだとも思うのです。結局、歴史をちゃんと知ろうとしない人(私も含めて)が多すぎるからこそ「この機会に、ちゃんと知りましょうね」と、このような作品が作られるんだよな・・・って、こう考える時点で相当ひねくれてる、という自覚もありますし、そういう変にひねくれた考えじゃなく、単純に「このテーマで描きたいから」という理由で戦争ものを手がけられる作家さんやクリエイターさんが多くいらっしゃるのもわかっています。「硫黄島からの手紙」や「父親たちの星条旗」だって、どちらかというと後者の理由ですしね。でも、夏に特に乱発されるのは・・・やっぱり「そうでもしないと、人は見ようとしないから」「作れば、みんな見るから」というのも少なからず、ある。

でも、そんな風に無関心な人が多いからこそ、私なりの言葉でちゃんと伝えたい、と自分から向き合っていく方がたくさんいて・・・そして、だからこそ生まれた「夕凪の街 桜の国」という作品。
内容の素晴らしさはもちろん言うまでもないけど、何より、無関心の中からこの作品が生まれたこと。そして、ここまで広がったこと・・・それ自体が、とても素敵なことだと思います。この物語は、単なる戦争もの・・・と言うよりも、今を生きる私たちみんなの物語。

さて、久しぶりに原作を読み返してみようかな。原作に関しては、ここでも何度も書いているので、今回は省略します。

・・・あ、最後にひとつだけ。
今回、エンドロールが終わったとき、どこからともなく拍手が沸き起こりました。初日舞台挨拶の回だったから・・・というのもあるかもしれないけれど、映画館であんな拍手が沸き起こる状況は初めてで、正直ちょっとびっくりして。でも、私もその音に導かれるように、自然と拍手したい気持ちになりました。ただただ「ありがとう」と。

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